顔を真っ赤にした安藤が、凝視していた教科書から顔を勢い良く上げて俺を見つめてくる。
その表情に、思わず吹いた。
「飯、食えば?」
「な……!平気だ!」
そう言って高速で首を振る。
しかしそこでお約束のように、再び安藤の腹が鳴った。
「………」
「……腹、鳴ってるぞ」
俺の言葉に、安藤の顔が更に赤くなる。
…こういう言葉は、女子には言ってはいけないのかもしれない。
でもそれなら尚更言いたくなる。
こんな俺は、きっと相当な性悪だ。
「……」
尚も安藤は顔を真っ赤にして口を閉ざしたままゆっくりと立ち上がり、ご飯つくってくる…と消え入りそうなくらいに小さな声でそう俺に告げ、部屋を出て行った。
俺はその後ろ姿を見届けて帰り仕度をする。
もうこんな時間だし、安藤は飯だし。
適当に広げていた教科書とノートをソフトエナメルのメッセンジャーバックに突っ込み、部屋を出た。

