「だいたいな。料理なんて柄じゃないんだ私はっ。そんなのは家庭科選択してる女子にでも頼め!」

弁当箱の隅にちょこんと座っているタコさんウィンナーに、箸を勢い良く刺して安藤が声をあげる。

「今更そんなこと言われても条件は条件だ。
それに俺が食べたいのは安藤の手料理であって他の女が作ったものじゃない」

俺の言葉に、顔をしかめる。

何言ってるんだお前は、とでもいうように。

「まあどうしても弁当つくるのが嫌だっていうなら、他の条件を考えてやってもいいが…」

「是非そうしてくれ!」

「じゃあメイド服着るのとどっちがいい」

「…………の野郎」

「まあそんな顔をするな。美味いぞ?初めの頃と比べればものすごく成長してる」


そう。正直一番最初に作ってきた弁当は悲惨だった。
赤黒いじゃがいもやらパサパサの卵焼きやら。
でも今はレパートリーも増え充実しているし、美味くなっている。