その後の安藤の集中力は凄まじかった。

話し掛けても一切返事をせず、教科書を穴が空きそうなほどに見つめ手を休めることなくノートに文字を書き込んでいく。

鬼気迫るその様子に、最初は茶々を入れたりしていた俺も声をかけることをやめ、ぼんやりと安藤の部屋を眺めたり、とっくに頭に入っている教科書を読んだりして時間を潰した。


そしてそれから三時間が過ぎ。

時刻は六時過ぎ。

窓の外に目を向けると橙色とピンクを混ぜたような綺麗な夕焼けが広がっていて、その柔らかな色が、カーテンの薄い壁を通り抜けて部屋の中にも入ってきていた。


―そこで

この静寂の中で、


……安藤の腹が鳴った。