「…なら、ライバルを作ったらどうだ」

俺の言葉に、安藤が眉を寄せ小さく首を傾げる。

「ライバル?」

「そうだ。勉強も勝負事だと思えば何か変わるんじゃないか」

安藤が、さらに眉を寄せる。

そんな簡単なことか?とその目が言っている。
俺は色ペンでたくさん書き込みがしてある安藤のノートに視線を落とした。

「…まあ、試してみるだけだ。―…じゃあまず、俺を抜いてみろ」

安藤が目を見開く。

「そんなことできるわけないだろう!毎回、学年280人中下から数えた方がはやい順位にいる私が、学年一位のお前を抜くなど」

「―なんだ…勝負する前から勝ち目が無いなんて言って逃げるのか。安藤はその程度の奴だったわけだ?」

口端を上げて言ってやる。

分かりやすすぎるこの挑発の言葉。

その馬鹿みたいな言葉も、単純な安藤には絶大な効果を発揮することを俺は知っている。

予想したとおり、安藤は顔を紅潮させ拳を握って叫んだ。


「ぜっっっったいに勝つ!!」



…本当に、単純でよかった。