勉強を始めてから、二時間が経った。
顔を青くした安藤の、喉の奥から搾り出すような呻き声がどこまでも静かな部屋に響く。
「わからない…」
何度も安藤の口から漏れるその言葉。
…俺はその横で頭を抱え、ただ黙っていた。
なんでこうもこいつは……。
「……安藤」
「……」
「お前は、よく頑張っていると思う」
「………」
「そこは分かってる。…分かってるが」
「―自分でも」
安藤が目を伏せて言う。
「何故ここまで勉強ができないのか、わからないんだ。毎回学年一位でテスト前にはクラスメートに質問責めにあう七澤に頼っても、何故ここまでできないのか」
ノートの端をぎゅっと握り締めて、悔しそうに唇をかみ締めるのが見えた。
広げられた、ノートと教科書、散らばるシャーペンと色ペン。
「…勝負事なら、誰にも負けない自信があるのに」
呟いたその言葉に、俺は反応した。

