同じように見える道をじばらく歩き、いくつもの角を曲がった。



―そこで


俺は、妙なものを見た。

灰色の屋根が並ぶごく普通の民家に囲まれている、その屋敷。

そこだけ、異様な雰囲気を醸し出している。


「春日流古武術」


やたらとでかくて厚い木の板にはそう書かれていて。


「私の家だ」


どっしり構える門とその向こうに見えるさらにでかい建物を指差して、笑顔でそう言った安藤に、俺はただ目を白黒させるだけだった。