これから塾なので、と全速力で廊下を駆けていく逢沢の後姿を、生徒会室の鍵をかけながら見送った後、俺は何となく教室で立ち尽くしていた安藤のことが気にかかり、薄暗い廊下を歩いて自分のクラスへと向かった。

勉強なら、いつものように図書館でしているはずだし、まさか教室でやっていたとしてもこんな時間まで残ってはいないだろう。

そう思うのに、歩みを止めることは出来なかった。

居ないなら居ないで、それでいい。

ただ、気にかかる。


目指す組のプレートが目に入り、少し歩調を速めてそこに向かう。


古びたドアを開け、まだ電気のついている教室内に入った。


すぐに、窓際の席で机に突っ伏している安藤を見つけた。