「…黙れ」

俺の言葉に、クックッと喉を鳴らして笑う逢沢。

こいつにこんなふうにからかわれるのはいつぶりだろうか。
…久々の屈辱だ。

―それから、逢沢にはやたらと茶々を入れられたが、俺はそれらをすべて無視して心の中で呪詛の言葉を吐きつつ、山積みの「仕事」を片付けた。

やっとすべてが終わる頃には七時を回っていた。

窓の外に目を向けると、日はとくに沈み、町並みを見れば街灯の小さな灯りが点々と並んでいる。

半分開けた窓からは、冷えた風と夏の夜のにおいが微かに流れ込んできていた。


「よくまあ、この短時間で終われましたね」

ため息とともに言葉を吐き出した逢沢が、鞄を肩にかけながら言う。

「いつもこの調子で仕事をこなしてくれればいいんですけど…」

「…そんなヤツに見えるのか、俺が」

そう返すと、声をあげて笑われた。