自棄に湿気が多くジメジメとした生徒会室で、俺は机の上に山済みになった書類を黙々と片付けていた。
その横で、
「来年になれば卒業式ですねえ…」
なんて最悪な一言を放つ逢沢を忌々しく思う。
卒業式は、生徒会最後の一大行事だ。
こんな時にそんなことを呟けるなんてこいつも度胸がある。
…まあ
今回のことは完璧に俺が悪いが。
「会長。会長が慈悲深いお人のはよく分かりましたよ。分かりましたけど。…その為に御自分の仕事をほったらかしにしてしまうのはどうかと思うんですよ」
逢沢が書類の束を人差し指でとんとんと叩き、俺に鋭い目を向ける。
無言のまま睨み返したが、
怯みことなく、むしろうっすら微笑みすら浮かべて逢沢が口を開く。
「相当、入れ込んでいるようですねえ」
楽しげに呟いたその一言に、心の中で真っ黒い感情が疼く。
俺以外の誰かに、安藤の事を言われるのは不愉快だ。

