心 ―ハジマリノウタ―





外へ出た私を見て、

見張り番は鼻を鳴らすと歩き出した。




「ふん。

器量だけはいいな。

行くぞ」




大股で進んでいく見張り番を

追いかけようと足を踏み出すと、

たちまち慣れないドレスに足をとられ、

膝をつく。


見張り番は気がついたようだが、

笑うだけで決して助けようとはしなかった。


私は痛みの奔った膝を

ゆっくりと伸ばして立ち上がると、

裾を掴んで再び歩き出す。


見張り番が立ち止まったドアの前に

ようやくたどり着くと、

見張り番はそっと重々しい扉をノックした。


その手が震えているのは、

私の位置からでも十分分かった。


同情などしない。


何故、見張り番の腕が震えるのか、

私には分からない。


私の中には存在しないから。


恐怖?

尊敬のあまり?


私には、そのどちらも理解することができない。


存在しない物は感じることさえ許されない。