心 ―ハジマリノウタ―




ジグは言った。


彼らについての記録は、

あまりにも少なく、曖昧なままだ、と。


伏せた目は、一瞬だけ力を

なくしたように見えた。


しかし、再び視線を上げたジグは、

闘志に燃えた瞳を取り戻していた。




「お前は、心を持つドレイと戦うことになる」




それでも、戦えるのか?


老いた男は私にそう問うた。


何故、そんなことを聞くのか。


私には、理解もできないし、

想像もできない。


私は、心が無い。


彼らには心がある。


普通なら、羨む?憎む?


でも、私には、心が無い。


私は静かに頷いた。




「良かった。

それなら、私に異論はない。

もう朝も終わる頃だ。

ロック、皆を呼ぶか?」




ジグは私に興味がなくなったように、

闘志を秘めた視線を引っ込めて、

ロックに尋ねた。


ロックは満足そうに頷いた。