重い扉が軋んで開いた。


遠くの方で音がする。


フェイクが帰ってきたのだ。


私は本を閉じた。


彼を迎えるために。


私の中で恐怖はまだ蹲っていた。


けれど、彼を信じたい、と

強く想うから、

私はもう、彼を疑ったりしない。


そんなこと、はじめから

できるはずがない。


私には、彼が必要なのだから。




「ユア、ただいま!」




心成しか彼の声が弾んでいる。


一心に私を見つめる赤い瞳には

希望が灯っている。




「お帰りなさい、フェイク」



「ユア、聞いてほしいことがあるんだ」




彼は優しく私に触れながら、

隣に腰を下ろした。


そして、私の瞳を覗き込みながら、

言った。




「俺は君をリヴィアやリオンの元に

返そうと思うんだ」