頷く事が辛かった。


俺がユアを救えないという事実を

認めることも、その事実さえも、

悔しかった。


しかし、それが事実であり、

彼らしか頼みの綱は無いのだ。


俺は、頷いた。


リヴィアが腕を組んで俺を見つめた。




「俺たちのボスもそう言ってた。

だから、今回の任務で、

お前らに、ユアを返す事にしたって。

でも、ユアはボスの予想外に、

帰って来て、その時、心の闇が…」



「いいだろう、わかったよ。

でも、あたしは何も言わないよ。

フェイク、アンタが自分でユアに言うんだ」




どういうことだ?


俺が顔を上げてリヴィアを見ると、

彼女は、難しい顔をしていた。




「ユアがどうするかは、あたしにはわからない。

でも、これだけは言っておいて。

あたし達は、心に闇を抱えていても

ユアが大切だってね。

どうせ、悩んでるんだろう、それで」




俺は頷いた。


この人たちは、本当にユアが大切で、

ユアも彼らが大切なのだ。


俺は勝てる訳が無い。


周りの皆も頷いた。


ああ、ユアがどうか救われますように…。


あと、俺ができるのは、

祈る事くらいだろう。