俺は、南西アジトに居た。
ワープに成功したのだ。
広い空間に、いきなり姿を現したにも関わらず
誰も俺に気付いていないようだ。
それもそうだろう。
この人通りじゃ、誰かが居なくなっても
気がつかないに違いない。
それに、ワープといっても、
俺の力は他の方が長けているから、
実態は無い。
だから、何も触れないように
歩かなくてはならない。
触れれば、不自然に映像が途切れてしまうからだ。
それにしても、広いな、此処は…。
見渡す限り、階段と通路が広がっている。
大丈夫、俺のことを知っている奴は
ここには数人しか居ないはずだ。
俺は、その少人数の奴らを
探して、歩き出した。
ユアは今、何を考えているだろう?
また疑心暗鬼になってはいないだろうか?
ハア、とため息をつく。
やっぱり、カトレアに任せてくればよかった。
いや、むしろ、連れて来れば…。
でもきっと、彼女は了承しなかったはずだ。
やっぱりこうするしか、ないのだろう。
すると不意に、聞き覚えのある声が
飛び込んできた。
「ど、どういうことだよ、それは!?」
「だから、さっきから、何度も説明しているように
ユアに会いました。
それで、ユアは、あっちを選んだ!
何度言わせれば気が済むんだ!」
この声は、確か、ユアを待つといった、
ユアの、師匠だ。
ピシャリと言い放った彼女に、
もう一つの声は何もいえないようだった。
その後から彼女をなだめる声が聞こえる。

