心 ―ハジマリノウタ―




部屋を後にした私たちは、

ゆっくりとフェイクの部屋へ歩いていた。


フェイクは静かに、

私を部屋へ招きいれ、蝋燭に火をつけた。


ドアが背後で閉まった。




「ユア…安心して。

俺は、ずっと君の傍にいるよ。

だから、消える事も、

イレになることも、絶対にさせない」




私は彼の赤い瞳を見上げだ。


イレはフェイクの妹で家族で、

繋がりがある。


それでも、私を選べるのだろうか?


私は、闇が疼くのを感じた。


身体が自然に強張っていく。


フェイクの手が私の手をとった。


心配そうにゆれる、赤い瞳。


私の疑いに、黒い感情に

心の闇が、反応しているのだ。


恐い。


彼が私を選ぶという確信がどこにある?


私は、俯いた。


今、彼の瞳を見つめてしまえば

彼の心の中に潜む、

何かを見つけてしまいそうだったから。


それが、恐かった。




「ユア、俺は本当に君の傍に居るよ」




その言葉を信じられたら、

どれだけ私は救われるだろう?


心はこんなにも厄介で、

けれど、私の大切な人達がくれた宝物。


私はもうきっと、手放すことができない。


これから、私がイレになってしまうかもしれないと

わかっていても、手放すことはできないのだ。