心 ―ハジマリノウタ―




心の闇。


それは一体どういうものなのだろうか?


あの蝕まれるような感覚は、

放っておいていいのだろうか。




「前に一度、ハートを持つ者が殺された時、

心の持ち主は、既に亡くなっていた。

失われたはずの心が元の主人の中へ

帰ることは、ユア、お前が初めてだ」



初めて、ということは、

何の情報も、先例もない、ということ。


つまり、何も分からない、ということ…。


正体も、消す方法も…。



「何も、知らないのですか」




かすれた声が、私の唇から

懇願するように零れ落ちた。


老人はゆるゆると首を振った。




「知らないわけではない。

ハートを持つ者を生み出すに当たって、

数々の実験をした。

元の主人の下へ戻ることがあれば、

心の闇が巣食う、という結果は出ていた」



結果は出ていた?


それなら…。


希望を抱きかけた私に、老人は

無情にも首を横に振った。




「しかし、対処法はなかった」