心 ―ハジマリノウタ―



身体に震えが走った。




「ユア、どうした!?」




フェイクの声がすぐ側に居るはずなのに、

遠くの方で聞こえる。


胸の底で、何かが疼く。


行きにも感じた違和感と、疼き…。


これは、何?


哀しい…

憎い…


この黒い感情は、一体何?



「ああ…」




私の口から零れ落ちる声。


痛い。


胸が、痛い。


感情を制御できずに、涙が零れる。


膝ががくりと折れ、

思わず座り込んでしまう。


心を蝕んでゆく、闇



闇…


苦しい。


床に着いた腕が強張り、瞳が見開かれる。


どくん、と心臓が鳴って、

心がざわつく。


誰か、居る。


私の、心の中に、誰かが居る。




『カトレアの匂いだぁ。

フェイクもそこにいるんでしょ』




ああ、頭の中で木霊す声が、

私の全てを揺さ振る。


皆の記憶も、フェイクやカトレアの温もりも、

全て、全て、黒い感情に塗り潰されていく。


闇に消えてゆく。


目をきつく閉じて、頭を激しく振る。


ヤメテ、

ヤメテ…。


私の大切なモノを、奪ってしまわないで…