心 ―ハジマリノウタ―



寸前のところで間に合ったようだ。


私は次の瞬間、あの赤い世界に居た。


そこには、来た時と変わらない、

赤と黒が在った。


道の少し先に、

寂しそうなフェイクの背中が見える。


私は声を張り上げて彼を呼んだ。




「フェイク!待って下さい」




立ち止まった彼は、

驚いた表情で振り返った。


その赤い瞳は驚きで見開かれている。




「ユア?!何で、ここに…」



「フェイク、貴方にとって、

私は必要ですか?」




私は、静かにフェイクに問うた。


私の心は決まった。


ジグの言葉の通り、

心感ずるままに、選択したのだ。




「ああ。ユアが、必要だ」




掠れた小さな声が、私に届いた。


私は頷いた。


ごめんなさい、皆…

でも、いつか必ず、皆の元へ帰るから。




「ならば、私は帰ることを選択します。

貴方と、一緒に。

私の居場所は、ここです」



私はもう、振り返ったりしない。


信じているから。


彼らが私を待っていてくれる、と。


彼らが私を信じていてくれる、と。