心 ―ハジマリノウタ―





鏡の中の女は、

額に皺を寄せて、ただあたしを睨んでいた。


緑色の見慣れた瞳には覇気がなく、

睨みつけているのに、

まるで弱弱しくて、泣いているようにも見えた。


あたしは、こんなに情けない顔をしてたのか。


目を閉じて、その姿を視界から追い出す。


情けなかった。


結局何時も、あたしは誰かに救われながら生き、

そして、何時も、その人を救えないのだ。


手を眼帯にやると、

またその傷が痛むようだった。


アトネスを失った時、

まるで絶望の淵に居るような気がした。


あの時、あたしが唯一心を許せたのは、

彼女だけだった。


彼女は、あたしの親友であり、

家族だった。


いや、そんな事を言うのは、

おこがましいだろう。


そんな風に思っていたのは、

あたしだけだったんだから。


首を振って、脱衣所を後にする。


ユア、アンタはあの時、

なんて言ったんだっけ?



『リヴィアさんのために、何ができるのか、

考えていました。

きっと悲しいはずだから…』




ロック、アンタはあの時、

なんて言ったんだっけ?


ああ、何も言わずに、

抱きしめてくれた。