心 ―ハジマリノウタ―





振り返ると、

ダイガがこちらをじっと見つめていた。


傷の事だろう。


あの時、ドレイの血を浄化する時に

リヴィアに撃たれた傷だ。


僕は頷いた。


正直、傷の事なんて、ほとんど忘れていた。


それどころではなかったのだ。


ユアが、居なくなって、

僕たちは皆、自分の事より、ユアの事を思っている。




「平気です。

処置が間に合ったので、

今は痛み止めが効いているみたいで」



「そうか。

後でちゃんと医務室に行っておけ。

まだ血も足りてないはずだ。

しっかり休むんだぞ」




僕はまた頷いたが、

何故、ダイガは傷の事を知っているのだろう?


ユアの事は話したが、

彼女の事以外には全く触れなかったはずだ。


僕はそんなにも、具合が悪そうなのだろうか?


疑問が顔に表れていたのか、

ダイガが困ったような顔をして言った。




「ジグがな、連絡を寄越した時に

特にリオンは撃たれて傷を負っているから、

貧血も心配だし、よく休ませてくれって

言いやがってな」




ジグが、僕を心配した?


益々彼は謎の人物だ。


その心は霧がかかった様に、見えない。


感じる事さえも、できない。