《RION》
全てを聞き終えたダイガの表情は全く読めなかった。
僕たちは汽車に乗り、
幸運にもドレイに出くわす事もなく、
南西アジトへ辿りつくことに成功した。
メイを探して以来の南西アジトは、
僕たちが居た中央アジトとは、
また違う構造だった。
南西アジトは、地下にあった。
さすが武器の研究を担当しているだけあって、
何度見ても
地下のアジトは圧巻だった。
螺旋のように壁に連なる階段と、
部屋が、一面に広がり、
中央部分の平らなスペースは、
共有スペースとなって、能力者たちが寛いでいた。
何よりすごいのは、
人の数が一番多い事だった。
「それじゃあ、ついに…
ヤツは尻尾をだしたってわけだな」
ダイガがやっと口を開いた。
考え込んでいた様子から一変して、
その表情は決意を表している。
「ということは、やはり貴方だったんですね。
ネヴァ師匠を通じて私に、
ジグを見張らせていたのは」
ええ、と低い声で頷いたダイガに、
リヴィアは苛立たしげな表情を返した。
それは、ダイガが恐らく自覚していないであろう、
デレデレした表情が理由だ。
さっきから、ダイガはリヴィアを見るたびに、
瞬きを繰り返しているのだ。
それくらい、眩しいらしい。