心 ―ハジマリノウタ―





「そうだったとしても、それは奴らのためだろう?

君は、奴らを連想させることを突きつけられた時、

とても悲しそうな顔をするんだ。

ユア、今だってそうだよ。

自分の顔は見えなくても、

気持ちくらいはわかるはずだ。

素直に、本当は戻りたいって言えよ!」




ハートを持つ者は、限りなく人間に近い。


けれど、私の前に立っているのは、

ハートを持つ者ではない。


フェイクは人間だ。


こんなにも澄んだ美しい涙を流せるのだから。


私は、戻りたいわけではない。


そんな風に思った事は一度もない。


忘れてしまいたい。


早く、忘れなければならない。


私の存在は、彼らを苦しめるから。




「フェイク…」




私は、手を伸ばして、

彼の目から溢れる涙を丁寧にすくった。


いつか、彼が優しくしてくれたように。




「貴方の言うとおりです。

確かに、私は彼らのために、

新しい居場所を探していました。

だからあの日、彼らの声を振り切って、

何の繋がりもない、敵である貴方の手を取った」