心 ―ハジマリノウタ―





フェイクの足取りは軽く、

どんどん私の手を引いて廊下を進んだ。


何故、そんなにも家族だという事実が

嬉しいのだろう?


家族と言うものを知らない私は、

フェイクの喜びを理解できなかった。




「家族と言うことは

そんなに嬉しいことなのですか?」




私は前を歩く彼に追いつこうと

早足で歩いた。


が、私の質問を受けると、彼は急に立ち止まった。


そして振り返る。




「ユアは…嬉しくないのか?

今まで俺とユアを繋ぐ物は何もなかった。

そこに、一緒に居られる理由が出来たんだ。

ユアは、嬉しくないのか?」




一緒に居られる、理由。


私とフェイク繋ぐもの。


それは、必要なものなのだろうか。


リヴィアとは、師弟の繋がり。


レイやリオ、リブとは友情。


けれど、私は何の繋がりも

無いフェイクの手を取った。


そして、今こうして一緒にいる。


彼は、それだけではダメだというのだろうか。