心 ―ハジマリノウタ―




その後、カトレアはフェイクの待つ部屋まで

私を送り届けてくれた。


部屋を出て行くとき、

名残惜しそうではあったけれど。





「おかえり、ユア。

何か、変わったことは?」





私は首を振った。


何も変わらない。


私の両親が明らかになった事で、

何かが変わるわけではない。


それなのに…何故だろう。


頭が重い。



頭の中は、靄がかかったように白く濁っている。


これが良いことなのか、悪いことなのか、

わからない。


まるで、頭が理解する事を拒否しているかのように

私は、混沌の中に居た。




「ユア?」




フェイクの紅い瞳が私の顔を覗き込んだ。


彼は私が老人の娘だと知ったら、どんな顔をするのだろうか?


想像もつかない。


今まで、親など気にした事がなかった。


居ないことが当たり前だった。


私は、一体どうしたらいいのだろう?