心 ―ハジマリノウタ―





「けれどね、私の心にも、本当の持ち主がいた。

それは、ジグの恋人の“カトレア”。

2人は愛し合っていたけれど、

彼女は重い病にかかってしまったの。

そして、ジグの前から姿を消した。

再び見つけ出した時、

彼女は弱りきっていたわ。

今思えば、貴方を生んだ後だったのね」




カトレアは懐かしむように、

私の髪を撫でた。


つまり、カトレアの本当の心の持ち主のカトレアが、

私の母親、ということ?


カトレアの話は続いた。




「ジグは、急いで私の身体を造り出し、

彼女の心を私の中へと吹き込んだ。

それで私はここにいるの。

でも貴方の存在は、知らされていなかった。

そして、資料を見つけたのは、

貴方がアジトへ行ってしまった後だった…」




カトレアは急に眉を下げて言った。


ごめんなさい、と。


伏せた目の淵に、涙が光る。


何故、泣くのだろう?


何も、カトレアは悪くなどないのに。




「もっと早く気がついていれば、

奴隷になんて、させなかったのに。

心も、無事だったはずなのに。

ごめんなさい、ユア…」