心 ―ハジマリノウタ―






「私が貴方の事を知ったのは、

単なる偶然からだった。

ある時、私はドレイ工場の資料を整理していたの。

この館にはね、ドレイ工場に関する資料が

収められた部屋があって、

そこがあんまり散らかっているから、

つい掃除を始めてしまってね」




その散らかりようを思い出したのか、

呆れたような表情をしてから、

カトレアは話を再開した。


そして、見つけたの、と彼女は囁いた。





「貴方の資料よ。

もちろん、工場の資料なんだから、

見張り番や心亡き者の資料もあるの。

その中の貴方の資料をね、

たまたま手に取った…」




私の資料。


そんな物が存在していたなんて。


おそらくそれは、私が知っている以上に、

私のことについて書いてあるに違いない。


しかし、別に見たいと、知りたいと、

思う事はなかった。


何故なら、何一つ必要の無いことだからだ。




「そして、驚いたわ。

ふと目をやった親の項目に、

私の名前があったんだもの。

ええ、でも、私はハートを持つ者…。

人間ではないわ。

だから、子どもを生むことはできない。

でもね、確信したの。

その隣には、ジグの名前があったんだもの」




ジグの、名前?


つまり、私はジグの、娘?