心 ―ハジマリノウタ―





「嗚呼…やっと貴方に会えた!」




口火を切ったのは、カトレアだった。


美しい顔を歪めて、口を手で覆う。


その黒い瞳には、涙が浮かんでいた。


やっと、私に会えた?


何故、そんなにも私に?


私はずっと、フェイクの部屋に居たのに。





「私は貴方のことを知ってから

ずっと貴方とこうやって

話がしたかったの」





そういうと、私を優しく抱き寄せた。


フワリと、髪から優しい匂いが香った。


初めての感触に、どうすればよいのか、

私には見当もつかなかった。


しかし、そんな私を気にする事もなく、

カトレアは、喜びに満ちた声で、囁いた。





「ああ、私の可愛い、ひとり娘…!」




ひとり、娘…?


それは、一体どういう意味なのだろうか?


私は、カトレアの、娘?


しかし、カトレアはハートを持つ者で。


私は心亡き者だ。


生まれた時から、ドレイ工場の奴隷だった。


母など、家族など、知らない。


しかし、この人は、

私を強く抱きしめて泣く、この人は、

私を、娘と呼ぶ。


私が、カトレアの、娘?