心 ―ハジマリノウタ―





どれ程の時が経っただろうか。


祝宴の夜から、

ワーズやローラがたまに部屋に来ては、

色んな話を聞かせてくれた。


しかし、どんな時もフェイクは私を

部屋から出そうとはしなかったし、

私も特にそれを望みはしなかった。


しかし、その時は突然やってきた。


その日も、何時ものように、

私は彼のために歌を歌っていた。


フェイクも何時ものように

ソファに身を預け、

私の腰に手を回しながら、

目を瞑って、ただ耳を傾けていた。


扉がノックされたのは、その時だった。


私が口を閉ざすと、

フェイクは苛立ったように外の者に声をかける。




「誰?」





すると、それは思わぬ人物だった。


扉の隙間から顔を覗かせたのは、

黒髪の美しいカトレアだった。





「ふふふ、フェイクったら

そんなに不機嫌にならなくてもいいじゃない」




「カトレア?

珍しいね、何の用?」



初めて聞いたその声は、

やはり美しく、優しい響きだった。


しかし、それだけではなく、

どこかで聞いたことがある気がした。


そう、どこかで、

そんなに遠くではないどこかで。


記憶を辿ったが、結局思い出せなかった。


一体、どこで聞いたのだろう?