心 ―ハジマリノウタ―




ようやく玄関の薄暗い明かりが

廊下の先に見えてきた。


既に誰かが居るのか、

人の声のような物が微かに聞こえる。


恐らく、低い声だから

レイかリオだろう。




「分かるよ。

レイだってユアが好きなんだろ?」




はっきり聞き取れたのは、

そこからだった。


リオの声。


その後に続いた、驚いたようなレイの声。


それは明らかに肯定を示すもの…。




「だって、バレバレ。

気付いてないの、ユアだけだよ」




慌てた様子なのだろうレイに、

リオの声はおかしそうに続けた。


そうだ、

気づいていないのはユアだけ。


ユアは恐らく、恋愛なんていう気持ちを

まだ知らない。


私も、知らないままで良かったのに…。


何か鋭いものでも刺さったかのように

ズキズキ痛む胸の奥。


私は知らない振りをして、

2人の前に姿を現した。




「早いのね、2人とも」