心 ―ハジマリノウタ―





「なぁ、どうしてリオは

ユアを連れてこようと思ったんだ?」




不思議だった。


リオのことだから、工場からは連れ出したと思う。


けれど、町へ返すこともせず、

危険を冒してまで、ユアを連れてきた。


慎重で優しいリオには、

考えられない行動だ。




「ああ…どうしてだったんだろう?」


「え?」




俺が困惑したように答えると、

リオは軽く笑って答えた。




「ごめんごめん。

あの時、僕が任務で殺した奴が、

ユアに命令した。

自分の盾になれって。

ユアはそれに従って

僕との間に割って入って来たんだ」




ユアは心亡き者だった。


主の命令に従う、奴隷だったのだ。


俺はリオの話を黙って聞いていた。




「その時、一瞬だけ、目が合って…

僕は、怖くなった。

恐ろしかったよ、ユアの瞳は」




リオは目を閉じた。


何かを思い返している様子だ。


初めの頃のユアは、

抜け殻の人形のようだった。


そんなユアに、残ればいい、と

あの場で言ったのは俺だったが、

正直、とても驚いた。


あんな人間がいるのか、と…。