心 ―ハジマリノウタ―




廊下の先に、ようやく玄関が見える。


思わずホッと息を吐く。


本当は、誰かに会ったらどうしようか、

と思っていたのだ。


しかし、玄関には、人影があった。


揺らめく炎が影を作り出し、

床にそれを引き伸ばしている。


じっと目を凝らすと、




「リオ?」


「ああ。レイ?」




その人影はリオだった。


壁に寄り掛かっているところを見ると、

傷はまだ癒えないのだろう。


もし、ユアがいてくれたなら…

と思わずにはいられない。




「随分早いんだな」




俺がそう言うと、リオは曖昧に頷いて

俺をじっと見つめた。


ユアと同じ、黒い瞳が俺を見据え、

リオは口を開いた。




「なぁ、レイは知ってたの?

ジグが…裏切っていること」




リオは優しい奴だ。


人を疑ったりとか、嫌ったりなんて、

絶対にしない。


寧ろ、そう考えた自分を

嫌ってしまうような奴だ。


俺は頷いた。