心 ―ハジマリノウタ―





「リヴィア、救急箱とラップを準備して」




冷静に口火を切ったのは、リブだった。


リヴィアは困惑したように頷き、

救急箱を差し出した。




「ラップは、ねぇ…

確か、一度料理に使ったことが」




そこまで言うと、

ハッとしたように口をつぐみ、

備え付けのシンクの下を探って、

ラップを取り出して渡した。


リブはそれらを受け取ると、

救急箱の中から、絆創膏とガーゼ、

包帯を取り出した。




「リヴィア、タオルとお風呂場を借ります。

リオ、来て。

念のため、傷を洗っておきます」




リオを引っ張ってお風呂場に

連れて行くリブ。


心配で、全員がその後をついていく。


リブは蛇口を捻ると、傷口を洗い始めた。


その手つきは慣れたもので、

傷に触れる動きも優しい。


やがて、タオルで傷の無い部分をふき取り、

そっと、傷にラップを被せ、絆創膏で

それを固定し、更に上からガーゼをかぶせる。


最後に包帯を巻いてしまうと、

あっという間に、

治療は終わっていたのだった。




「ねぇ、リブ?

消毒はしなくていいのぉ?」




心配そうにリオのガーゼを眺めて、

メイがそう尋ねた。


すると、驚いたことに、

リブは微笑みさえ浮かべて

メイにやさしく言った。




「膿んだ傷には消毒はいらないの。

だから、リオの腕の傷は、

すぐに瘡蓋になってよくなるよ」