心 ―ハジマリノウタ―




しかし、リブは別のことにも気がついたようだ。


眉を潜めると、

ぐっとリオの右腕をつかんだ。


すると、リオは、

驚くよりも先に、痛みにうっと声を漏らした。




「やっぱり…拷問の痕ですか」




リブはそう呟いて、

リオの袖を捲り上げた。


そこには、無残な傷が走っている。


腕から手首にかけてある、深い傷は、

膿み始めているようだ。


リオは自分の腕を見て顔をしかめ、

メイがあわてて駆け寄る。




「治療室へ、早く行かないとぉ…」



「いや、ダメだ!」




リオが強い声でそう言った。


メイが泣きそうな表情で振り返る。


苦しげな表情のまま

リオが首を振って、再び言う。




「メイ、分かってるだろう?

治療室はもう使えないんだ」



「リオ、どういうことだい?」




すると、リオは傷口は傷むはずなのに、

してやったり、という風に

悪戯っぽく笑った。




「啖呵、切ってやったんだ。

レイを見習って、さ」



「お前、何やってんだよ」



口では言いながら、思わず笑いが漏れる。


リオも笑い返して、顔をしかめる。


しかし、治療室も使えない。


南西アジトまで、行くのは、

何時間も掛かる。


外の病院に行くこともできるが、

それは、ドレイに狙われることにも繋がる。


一体どうすれば…?