心 ―ハジマリノウタ―





アレ。



私には全く分からなかったが、

人々がざわついたところを見ると、

大切なことらしい。


軽い調子の声を聞いて、

人々の意見は傾いたようだった。


ロックと呼ばれた男は口を開く。





「じゃあ、触れてもらってから

決めるってことでいいかな?」




彼の言葉に皆口々に賛同を唱え、

ジグという老人も不満そうに頷いた。


独り蚊帳の外におかれた私を振り返ったのは、

私を連れ出した主様。


彼は私にそっと、微笑んで見せた。


何の為に笑ったのか。

何故、私を振り返ったのか。


理由など分からないし、

わかる必要も無いのだ。


ただ、私に分かったことは、

主が私のために微笑んだということと、

そんな感情は私には無いということ。