情けないことに、涙が出そうだった。
何故、こんなにも簡単にユアを
裏切り者にしてしまえるのか。
理解できなかったし、したくも無かった。
ユアは、何時も誰かのことを考え、
人のために行動してきた。
何度も俺たち能力者を救い、
希望を与えてくれる存在だった。
誰かのために、涙を流し、
人の笑顔のために、歌を歌った。
それなのに、何でこんな簡単に、
ユアを、ユアの心を裏切ってしまえるのか。
そして、俺は、
その裏切りを目の前で見ているというのに、
ユアを救ってやることができないのか。
自分の無力さに、目頭が熱くなる。
このまま、ユアを裏切り者にしたまま、
全てを揉み消して、
何時もの生活に戻るつもりなのか?
許せなかった。
けれど、俺にはどうすることもできない…。
「いい加減にしな!」
一括する声が凛と部屋に響いた。
能力者たちの視線が、今度はリヴィアに注がれた。
リヴィアは、じっとジグを睨みつけて、
激しい口調で言った。
「アンタはあくまでも、
そういう態度をとり続けるわけね。
それなら、あたしはもう此処には居られない。
此処を、出て行く」
そう言うと、俺に目配せして
早足で部屋を後にした。
呼び止める声も、蔑む声も、
賛同する声も、何も無い。
ただ、沈黙のまま。

