どこかで何かを叩くような
大きな音がした。
それが自分自身が出した音だ、
ということに気がつく余裕も無かった。
俺は立ってジグを睨みつける。
怒りに任せて拳をぶつけた
近くのキャビネットが粉砕した。
拳がジンジン鈍い痛みを放つが、
そんなこと、どうでもいい。
家具を一つ壊したくらいじゃ、
怒りが止まらない。
「デタラメだ…そんな話、全部嘘だ!
ユアは俺たちを救うために、
奴らの下へ行ったんだ。
じゃなかったら、何で
俺たちが助かったって言うんだよ?!」
部屋は無情にも沈黙だった。
賛同してくれる者も、
何かを尋ねる者さえ現れない。
「レイ、もう何も言うな」
まるで俺を宥めるようにそう言うジグ。
あの冷たい目が警告している。
それ以上、話すことは許さない。
闘志を宿す淡色の瞳がそう言っている。
そんなものに、従う価値が、義務が、
どこにあるっていうんだろう。
「よく思い出してみろよ!
俺はそこにいたわけじゃないけど、
ロックと任務についた男たちを
癒したのはユアだろ?
新種のドレイから、守ってくれたのは、
涙を流して、自分も倒れながら、
彼らのために、歌を歌い続けたのは
ユアだろ!
アジトを攻め込まれた戦闘だって
傷だらけで、もう助からないって
思われていた患者たちを救ったのは、
ユアの歌の癒しの光だった!
何で、そんなに都合よく忘れられんだよ…」

