心 ―ハジマリノウタ―




しかし、ジグの言葉から出たのは、

ありえない名前だった。




「皆、ユアは知っているだろう?

実は、この争いも、

全てユアが話した工場の話に基づいて

計画されたもので、

提案も構成もユアの意見を聞いたものだった。

私は、工場にいたというユアの言葉を信頼し、

ロック誘拐から皆を活気付けようと、

今回の戦闘を肯定した。

私でさえ、ユアに騙されていたことに、

全く気付けなかったのだ…。


本当に、皆には申し訳ないことをした」




そんな…。


そんな酷い話ってあるのかよ。


あまりにも、真実が捻じ曲げられ過ぎて、

まるで脳が痺れたような感覚に陥る。


しかし、次第に襲ってくる憤怒…。


ガントレット付きのきつく握った拳が

震えてくる。




「ユアは、敵と随時連絡を取り、

そして、リヴィア、レイ、リブを騙し、

最上階まで誘き出した。

そこには、メイとリオの

2人が囚われていたということだ。

恐らく2人は短期間に渡って

監禁されていたようであり、

それもユアの仕業と見える。


彼女は私たちを裏切り、このアジトを去った」




戦闘を計画したのは、ユア?


裏切って最上階に誘き出した?


ユアが、リオとメイを監禁させた?



そんなはず無い。


第一戦闘の話は、ジグとロックの間だけで

話されていた、とジグ自身が話しているし、

俺たちが最上階へ行ったのは、

リオの筆跡で最上階、と書かれていたからだ。


ユアが文字を書けるのかは知らないが、

リオの字を見たことが無く、

それを似せて書くことが不可能なことくらい

誰でもわかるはずだ。


全部、全部デタラメじゃないか!


自分の中で、何かが切れた気がした。