≪RAINARDE≫



ドンドンドンと荒っぽく叩かれる扉の音に、

俺は、まだ眠っていたい気持ちから、

寝返りをうった。


何故だろう、

すごく、疲れている。


もっと寝たい…。


でも、どうしてだろう。


この疲労は、戦闘の…


その瞬間、俺の脳味噌は一気に冴え渡った。


ガバッと起き上がると、

慌てて扉を開ける。


そこには、汚れた姿のままの

リヴィアとリブがいた。


2人の表情は、絶望的だった。


リヴィアは眉間にシワを寄せ、

遠めに見れば、

何か考え事をしているように見えたが、

その緑色の双眸は何も映して居らず、

虚ろだ。


リブも同じく眉根を寄せているが、

それは傍目から見ても明らかなくらい、

涙をこらえていた。


目の縁が赤い。


どうやら、此処に来る前にも泣いていたようだ。




「それじゃあ…」




俺はかすれる声で、やっと言葉を口にした。


けれど、実感が湧くのが恐ろしくて、

それが本当だと、認めたくなくて、

核心を口にできない。


苦しげに言葉にしたのは、

やはりリヴィアだった。




「ユアは、行っちまったよ」




彼女は強い。


一人で生きて、独りで戦う。


そのことで有名な彼女の、

唯一の弟子。


それを失ったのに、

何故彼女はこんなにも強く在れるのだろう?


疑問と共に、俺の目から涙が溢れた。