心 ―ハジマリノウタ―



ハートを持つ者たちは

銀色に光るナイフとフォークを手に取ると、

流れるような動作で

料理を口に運び始めた。


まるでそれが

当たり前ことであるかのように。


否、

彼らにとっては当たり前の事なのだろう。


しかし、私は未だフォークもナイフも

思うように操れない。


そんな私が、心を持つ人間だ、と

本当に言えただろうか。


あの頃の自分にさえ、

疑問を抱かずにはいられない。


あまりにも、彼らが人間に

近過ぎるように見えたからだ。


私が固まっているのを見て、

フェイクが心配そうに声をかけた。




「ユア?料理は口に合わない?」




私は慌てて首を振った。


そんなことはない、はずだった。


けれど、歓喜も快楽も忘れた私に、

味など最早どうでも良いことなのだ。


私はただ、必死に料理を口に運んだ。



ハートを持つ者は

限りなく人間に近いモノ。


そう、

人間であるべきであり、

しかし、その証の心を失くした、

心亡き者よりも…。