心 ―ハジマリノウタ―




ファイラとズックがようやく戻ってきて、

席についた。


どうやら、これで全員揃ったようだ。


皆が話を止めた。


部屋がシンと沈黙に包まれたかと思うと、

そこへ扉が開く音が響いた。


その扉は、私たちが使ったものではなく、

別の場所から通じるものだった。


扉が開いた音と共に、

闇に沈んでいた蝋燭に一斉に炎が踊り、

扉から現れた者を露にした。


それは、2人の人間だった。


あるいは…人間に酷似したモノ、か。


片方は、私の良く知る人間…。


扱けた頬。


頭に被った灰色のフード。


その色の薄い二つの瞳。


そして、それに宿る貫くような闘志。


それは、ジグだった。


彼の後ろを歩くのは、女性だった。


奴隷時代を思い返しても、

彼女を思い出すことは無かったので、

ハートを持つ者だろうか。


彼女は決して若くなかったが、美しかった。


流れる艶やかな黒髪も、輝く大きな黒い瞳も、

全て、可憐であった。


ジグは私が此処にいることに、

目もくれぬようだったが、

女性のほうは全く別の反応を見せた。


私を視界に認めると、

その大きな瞳を更に見開いたのだ。


そう、まるで驚愕を現す様に。


いや、それは完全に驚きを示すものだった。


そう分かったのは、食事が始まってからも、

彼女の視線が私に注がれていることに

気がついてからだった。