心 ―ハジマリノウタ―





「僕は、この子自身に選んでもらいたい。

ここにいたいか、

それともあそこへ帰りたいか。

もし、あなたが望むなら、

私が工場へ返してあげましょう。

心感ずるままに、

答えてください」




「主様、私は心亡き者です。

心など、ありません。

それなのに、

あなたは心感ずるままに答えろ、

と仰られるのですか?」





彼は意思を捨てた、

心の無い私に決めろといっているのだ。


そんなことは不可能。


私には心が無い。


心の感ずるままに。


感じることなど、

できるはずも無い。


しんとした部屋。


私には自分が何処に居るか、

そんなことは関係なかった。


何処にいても、

私が奴隷であることに変わりはない。


工場であろうが、この場所であろうが。




「いいんじゃない。ここにいれば」