心 ―ハジマリノウタ―





「はっはぁ!

子猫ちゃんを連れて込んでたのかぁ。

やるようになったな、フェイ坊も」




その軽い調子の低い声は、

おかしそうにそう言って笑った。


そして、気付くと、

私の肩の上に大きな手が置かれていた。




「まぁ、そういうこと!

まだまだ片思いなんだけどね、

でも、ズーキー…

ユアは俺だけの姫だから」





フェイクはそう言うと、

私の腰に腕をまわして、自分の方へ引き寄せた。


その拍子に大きな手を振り払う形になる。


ズーキーと呼ばれたその大男は

両手を挙げて大袈裟に後ずさった。


蝋燭の光に照らし出された彼の顔には

頬から口の端にかけて

大きな傷跡が走っている。


大きな口をあけて、

目をニヤリと細めながら、

私に太い指を突きつける。





「はっはぁ!こりゃ、面白いねぇ。

どーりで、ファイラが不機嫌なわけだぁ?

嫉妬かあ?」




流し目で席についているファイラを見る。


その目はまるで、

ハイエナが獲物を見るようだった。


ファイラは紅い瞳を光らせて、

椅子をガタッと鳴らした。




「お黙り!誰が嫉妬ですって?

こんな子供に、何で私が…!」




それから私をキッと睨みつけた。


その時、暗闇からまた笑い声がした。