ファイラは歩き出したが、
フェイクは止まったまま、
私を振り返ったので、
フェイクが腕を振り払う形になる。
ファイラは一瞬目を丸くすると、
キッと私を睨みつけた。
しかし、フェイクは気にも留めず
再び私の手を取った。
「さ、姫、行きましょうか?」
フェイクはそう言って、
私に片目を瞑って見せると、
暗い廊下を歩みだした。
私もそれに従い、
ファイラは憎憎しげに紅い瞳を
ギラギラさせてフェイクの隣をいく。
一体何処へ向かうというのだろうか。
しかし、そんなことは私には
関係の無いことだった。
分からない。
分からなくていい。
分からない方がいい。
まるで、昔の私に戻ったよう。

