心 ―ハジマリノウタ―




甘く、高い声はよく部屋に響き、

フェイクはうんざり、といった表情で

立ち上がって素っ気無く答えた。





「ああ。ちゃんと出るさ」




するとまた返事が返ってきた。


が、先ほどよりは幾らかくだけた様子だ。




「んもう、フェイクったら!

もう何日篭ってると思ってるの?

一体何をやってるのかしら」




しかし、フェイクは返事を返さずに、

私を見下ろした。


私は黙っていた。


言葉はフェイクに向けられていたし、

相手は私の存在すら知らないようだ。


そう、これからは、存在を無視されたり、

言葉など聴いてさえもらえない事が普通。


決してそのことに、何かを感じてはならない。


私と目が合うと、フェイクはにっこり笑って、

私に手を差しのべた。




「さあ、ユア、立って!

君が此処に留まる為に必要なことをしよう」




私は、その手を取って、

フェイクと共に外へ向かった。


もう、後戻りはできないのだ。