ここはフェイクの部屋。
奴隷工場でもあり、
ハートを持つ者の家でもある。
彼らの部屋は、彼らしか知らない方法で
辿りつく地下にあった。
フェイクはソファに私を座らせ、
その髪を撫でた。
ロックによって整えられた黒髪は
もう、整えられることはない。
そうやって、少しずつ、
思い出は消えて行くのだろう。
そして、私はそのことに対して何かを
感じることは許されない。
だから、私はされるがままになって、
再び奴隷として、彼に仕える。
服は再びドレスに着替えさせられた。
美しい蒼いドレス。
それは偽りの空の蒼に似ていた。
嫌ではない、
だが嬉しくもない。
「ねぇ、ユア。
君の能力は歌なんだってね。
俺のために歌ってくれない?」
幾度と無く私は大切な者のために
この歌を歌った。
しかし、今溢れるのはそんな思いではない。
だから、この歌ではなく…
「はい。主様」