心 ―ハジマリノウタ―



しかし、身構えた私たちに反して、

白い廊下から、

ドレイが現れることは無かった。


ようやくたどり着いた、

エレベーターの個室も同様。


自動で開いたエレベーターには

誰の姿も無く、

私たちはそのままその中へ乗り込んだ。




「全くおかしいねぇ。

こんなにドレイがいないなんて」



「中央階段に集まってるんじゃない?

幾ら工場って言ってもさ、

街にもドレイは徘徊してるわけだし」




眉を寄せたリヴィアにレイが答える。


しかし、その答えにリヴィアは

納得しなかったようだった。


無言で眉を寄せたまま

彼女は首を振って、エレベーターの外を眺めた。


このエレベーターは

壁が全てガラスになっており、

中央階段が見下ろせるようになっているのだ。


エレベーターが上昇を始めた。


リブが34階のボタンを押したようだ。


その数字が示されたボタンが光っている。


遥か下では、能力者たちの戦闘が

今も繰り広げられているのだろう。


エレベーターの中からは

折り重なった階段でみることはできないが

今姿は見えずとも、恐らくいずれ、

彼らはエレベーターまで達するだろう。


私たちは一階一階止まらないか、

構えながらエレベーターは順調に

34階までの距離を縮めていった。


援軍は来るだろうか?


いや、戦闘に臨む能力者にこそ

援軍が必要なのだ。


来るはずもない。


早くリオとメイを助けて

援護しなければ…。


その時、最上階34階に

着いたことを知らせる鈴が鳴った。