心 ―ハジマリノウタ―





抜け道の階段は、

二手に分かれた廊下の左側にあった。


目立たない、というより、

継ぎ目が無い、と言ったほうがいいくらい

見え辛い扉を開ける。


掌を壁に押し当てると、

不思議と扉が浮き上がるのだ。


仕組みは知らないが、

奴隷は皆そうして、上の階まで上る。


リヴィア、レイ、リブと続いて、

最後に私が入り、慎重に扉を閉める。


薄暗い抜け道には、

切れかけた蛍光灯がちらついている。


お互いの顔の表情を

読み取れるのがやっとの暗さの中、

私は階段を作動させた。


そう、これは、動く階段なのだ。


階段の脇にある赤いボタンを押せば、

上りに動き、

緑のボタンを押せば、下りに動く。




「動く階段か…

確かにコレなら、早くいける!」




リヴィアがそう呟くと、

動く階段を駆け上がっていく。


それに続いて、私たちは、着々と

10階のエレベーターへと近付いていた。