心 ―ハジマリノウタ―






「何故…と聞いても

今度は答えてくれないのでしょう」




リブはジッとリヴィアを見ると

そう呟いた。


リヴィアは肯定も否定もせず

ただ片眉を吊り上げて見せた。




「そう、それなら

私も何も言えないですね」




そう素っ気なく言うと、

リブは再び本を取り出した。


リヴィアも自分が理由を話せない手前、

何も言えず、フンと鼻を鳴らすと、

窓の外に目を移した。


リヴィアの表情は

険しい。


それは恐らく、

リブの返答のせいだけではないだろう。


彼女は、ロックが新種のドレイに

襲われ、姿を消した日から

眉間にシワを寄せることが多くなった。


多くなった、というより

いつも考え事をしているようで

今や険しい表情をみない日はない。


ロックが関係しているのだろう。


しかし、リヴィアは泣くこともしなかったし、

悲しい表情を見せたことも無い。


ロックは信頼されていたし、

親切で優しい。


そして、何よりも他人を思いやる。


私の目からみても、

ロックはリヴィアと仲が良かった。


そのリヴィアが何の反応も見せないのだ。


そのせいか、

私は、どうしてもロックが

消えたことを実感できないのだった。