心 ―ハジマリノウタ―





「この、人は…

僕が狙った男の部屋に、一緒にいた。

それで、一緒に逃げてきた」




その言葉に反感の声がざわざわと上がる。




「何故連れてきたのだ!

奴らやも知れぬではないか!」




一際大きく響いたその声に、

主は赤くなりながら、怒ったように返した。





「この子は、僕が部屋に入ったとき、

服を脱がされかけてたんだ!

あいつらが間違えるわけ無い。

自分達で作ってるんだから」




「じゃあ、何であんたは

この子を連れてきたんだい?」




冷静な声がしんとした部屋に響いた。


主はしばらく口篭った後、口を開いた。


先程の声とは

打って変わった静かな声だった。




「それは…僕たちには、情報が足りない。

だから、あそこをよく知ってる人が

必要だと思ったんだ。

この子が、工場で何をしていたのか、

どういう事情であそこにいたのか、

僕も知らない。

だけど、少なくとも僕たちよりは

あそこを知ってるはずだ」