心 ―ハジマリノウタ―



レイについて、暫く長い廊下を進むと

一番奥に大きなドアがあった。


灰色のコンクリートに

不自然なくらい立派な木の扉だ。


レイはそれをノックして、

中に入った。




「失礼します」




「馬鹿野郎!

何やってんだよ、このトンマが!

どうしたらそんな風になる!!」



部屋に入った途端、怒号が耳を貫いた。


鼓膜が震えるような声に、

思わず瞬きを繰り返してしまう。


部屋の中には、

立派な木の机に足を乗せ、

電話に向かって怒鳴りつけている男と、

重そうなドアを平然と片手で押さえている

見覚えのある男がいた。


レイの師匠だ。


レイは飛び上がって後ずさり、

当の師匠はレイを見て、小さく舌打ちをした。




「だぁかぁらぁ…!

俺の言うこと聞いてたか!?」



「今は取り込み中なので、

椅子に座って待っていてください」




私たちは、頷いて、

黙って従うことにした。


一刻を争っても、

抗うには迫力がありすぎた。